web-precious コラム

孝美的買い物指南「暮らしにひとつ、私のお気に入り」

本誌連載記事「日々是こころは休日」での飾らない、でもセンス溢れる暮らしぶりが大好評の松本孝美さん。このホームページの連載では、毎月手に入れた小物や食材など「お気に入りのお買い物」を公開! 第11回目は「江戸からかみ」です。

撮影・文/松本孝美Vol.11 江戸からかみ

 日本橋にあるデパートに行くと必ず立ち寄る売り場があります。東京松屋さんが出している『江戸からかみ』のコーナーです。ぽち袋、うちわなどの和紙小物から襖紙、屏風、照明器具などが置かれているそのコーナーは決して広くはないのですが、手漉きの和紙やその模様に見入ってしまい、いつも長居してしまいます。寒い時期に行けば和紙の風合いを感じるだけで暖かくなるような気がするし、また暑い時期に行けば涼やかな模様を見るだけでここち良い風が吹いているような気分にさせてくれるという不思議な魅力があるのが『江戸からかみ』なのです。
 うちわや便箋、変わったところではごく小さいサイズの和紙を何枚も綴じて作った文鎮(わたしはオーデコロンを吹き付けてたんすの引き出しに入れています)などを愛用していますが、先日買ったのは大小の水玉が今にも動きだしそうな模様の懐紙。やはりこれも見ているだけで清涼感を得られます。
 “渋型摺り”とありますが、これは『江戸からかみ』の技法のひとつで文様を切り抜いた渋型紙を和紙の上に置き顔料や染料を浸したブラシなどで文様を刷り込んでいく技法なのだそうです。また、顔料をたっぷりと盛り立体的に浮び上がらせる技法もあるようなので、この懐紙の水玉が少し盛り上がっていて、しかも動き出しそうに見えるのはこの技法を用いているからかも知れませんね。伝統的な工芸品なのにちっとも古さを感じさせず、むしろモダンな印象があるのは、職人さんたちの技術と知恵の賜物なのでしょう。

 近くの和菓子屋さんで、葛ようかんと水無月(これは6月に書いています)を買ってきたのでさっそく敷紙にしてみました。でも両方とも同じではおもしろくないのでひとつは花瓶に挿していた葉を取ってきて敷きました。ついでにお皿も二種類にしてお盆の上にコーディネイト。これに冷たい水出し緑茶があれば言うことなし!の理想的な夏のティータイムです・・・。

 そしてやはり、ラッピング。サイズが14.5×17.5cmなのでこれ一枚では小ぶりなものしか包めませんが、熨斗紙のようにかけたり、細長くカットして違う紙と重ねたりすれば使い道も増えます。今回は藤色の薄紙の上に重ねてグリーンのラフィアの紐で結んでみました。下の色が透けて見えるのでいろいろな色と合わせて楽しめそうです。
 今回は懐紙でしたが、東京松屋さんのコーナーには、ランチョンマットに使えそうな大きさの『江戸からかみ』や、大きなサイズの手漉きの和紙もあるのでテーブルコーディネイトを始め、いろいろと利用できそうです。江戸時代の職人さんは、襖や屏風のためのからかみが、まさかこんなかたちで利用されようとは思ってもいなかったでしょうね。いや、もしかしたら余ったからかみでもっと粋な使い方をしていたかも?知れません・・・。

 


小学館のプライバシーステートメント ◆ Privacy pollicy

2008 © Shogakukan No reproduction or republication without written permission.
このサーバー上のデータの著作権はすべて小学館が保有します。
掲載の記事・写真・イラスト等のすべてのコンテンツの無断複製・転載・放送等は禁じます。