web-precious コラム

孝美的買い物指南「暮らしにひとつ、私のお気に入り」

本誌連載記事「日々是こころは休日」での飾らない、でもセンス溢れる暮らしぶりが大好評の松本孝美さん。このホームページの連載では、毎月手に入れた小物や食材など「お気に入りのお買い物」を公開!  第5回目は九重本舗 玉澤の「霜ばしら」です 。

撮影・文/松本孝美Vol.05 九重本舗 玉澤の「霜ばしら」

 毎月、私が「今月買ったもの」をご紹介しているこの連載ですが、今回は特別にいただいたものをお見せします。

先日、とてもきれいなお菓子をいただきました。九重本舗・玉澤の『霜ばしら』です。夏頃から「寒くなってきたら取り寄せるお菓子があるので楽しみにしていてね」といわれていて心待ちにしていたお菓子です。

 「雪のような白い粉の中に飴が埋っていてねー」とか、「最後に残った白い粉もフライパンで炒って食べるのよー」と聞いてはいたのですが、どうも上手く想像できないまま冬に・・・。

 「これなのよ、とにかく開けてみて。びっくりするから。」

 小さな丸い缶のふたを開けてみると、真っ白な粉。まるでパウダースノー!! この中に埋もれている飴があるはずだと指でチョンチョンと中の方を突付いてみたら硬いものにぶつかった。指先で動かして表に出そうとしてみるのだけど、なかなか出てこない。そこで説明書を読んでみたら、つまようじなどで静かに取り出してくださいの注意書き。最初の飴が出てきました! まるでガラス細工のような繊細な飴です。口の中に入れるとあっという間に溶けてしまいました。さらに飴を取り出していくと指で突付いたからか、小さい欠片が何個も登場。それも光に反射してダイヤモンドダストのようにきらきら光り、とてもきれいです。すべて熟練した職人の手作業で出来上がった飴は、缶に詰める際もひとつづつ箸で丁寧に入れていくのだそうです。飴を取り出し、備前の盃に入れてみましたが飴を少し動かしただけでも、角が擦れて欠けてしまいました。それだけ繊細な飴なのです。

 白い粉は米を材料とした“らくがん粉”の一種で、防湿と破損防止のためにびっしりと缶の中に入れているそうです。雪のように美しい上に、天然の乾燥剤とエアクッションの役目もしているんですね。しかもこの“らくがん粉”食べられるのです。フライパンで焦げ付かないように弱火にかけ、少し色づいたら器に移し砂糖と少量の塩を加えてお召し上がり下さいと書いてありますが、そのままスプーンで掬って食べるのかな? 何かに振りかけて食べても良さそうです。

 『霜ばしら』は蔵王の嶺々が真っ白に冬の粧いを整え麓に霜ばしらが立ちはじめると製造が始められ、春の訪れとともに終了するのだそうです。冬にしか食べられず、口に入れるとすっと溶けてなくなる儚さ・・・。なんともロマンチックなお菓子です。


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